しこく いろはにほへと

四国の魅力を公共交通機関ネタを通じて発信しています

四国右下 公共交通事情2023 ~JR四国と徳島バスにおける共同経営計画~

2022年4月1日

全国初となる異業種交通機関の共同経営が四国東南部

いわゆる“四国の右下”と呼ばれるエリアで開始されました

 

その四国の右下エリアの主要交通機関として

JR四国の牟岐線徳島駅阿波海南駅

徳島バスの高速バス路線の一つである室戸・生見・南大阪線

徳島バス南部、高知東部交通バス、阿佐海岸鉄道阿佐東線DMV

各路線が運行されており

このうちJR四国と徳島バス(高速バス)双方の共同経営により

その並行区間である阿南駅浅川駅において

JRの乗車券類で高速バスに乗車出来るようになりました

https://www.jr-shikoku.co.jp/02_information/tokushima-kippu/

 

この四国右下エリアでは先立って

2019年3月のJRのダイヤ改正でJR牟岐線において

日中にパターンダイヤがJR四国で初めて導入され

徳島駅阿南駅間では上下共に各30分間隔で

改正以前より増便運転されるようになった一方で

阿南駅以南の阿南駅牟岐駅阿波海南駅区間では

日中上下各2時間に一本に減便されました

これを補填するために

並行する徳島バス高速バス室戸・生見・阿南大阪線

阿南駅甲浦間に設けられている

阿南駅徳島バス橘営業所・由岐・日和佐・牟岐・浅川・海部・宍喰・甲浦の

各停留所相互間での乗降を可能としました

 

しかし2022年4月1日に現制度が始まる以前には

阿南駅等でJRと徳島バスを乗り継ぐ場合に

両社ごとに設定された運賃を個別に支払っていました

 

運賃の垣根が取っ払われた現在となっては

例えば徳島駅日和佐駅までのJR乗車券を買って

阿南駅で徳島バスに乗り継ぎ日和佐停留所で下車する場合

バス側の運賃は発生しません

ただしあくまでもJR乗車券類ありきの通し運賃適用制度ですので

現金で徳島バスに乗車する場合は適用外となり

従前通りJRとバス双方へ個別に運賃を支払うことになります

https://www.tokubus.co.jp/files/20220303/162a45b6f73ba38eb8fa811148d064fe87b16e4d.pdf

普通乗車券のほかに定期券や団体乗車券

各種フリーきっぷ等の特別企画乗車券も有効ですので

旅行日程に合わせて購入するといいでしょう

阿佐海岸鉄道DMV開業1周年記念ラッピング列車
徳島駅にて)
徳島駅設置のデジタルサイネージ広告に表示される
阿佐海岸鉄道DMVのPR広告

さらに徳島バスで海部・宍喰・甲浦といった共同経営区間外へ乗り越す場合は

バス乗務員に申し出て浅川からの各乗車区間分のバス運賃を

別途現金で精算することで乗車出来ます

 

乗り越す目的としては

宍喰停留所では道の駅宍喰温泉や隣接のホテルに日帰り食事入浴や宿泊利用する場合

阿佐海岸鉄道DMV徳島バス南部への乗り換え等

阿佐海岸鉄道DMVの発着点となっている道の駅宍喰温泉

甲浦停留所では最寄となる海の駅東洋町の産直コーナーや食堂の利

阿佐海岸鉄道DMV徳島バス南部や高知東部交通のバスへの乗り換え等

があるでしょうか

阿佐海岸鉄道DMV開業とともに交通結節点となった海の駅東洋町停留所
徳島バス高速バス甲浦停留所はここから200メートル弱離れた国道55号線沿いにある

ただし共同経営区間外へバスを乗り越す場合

乗車区間によっては必ずしも通し運賃適用で安くなるわけではなく

従前通りJRとバスそれぞれ個別に運賃を支払った方が

現状では逆に安くなる場合(下記 例1・2参照)がありますので

乗車予定区間運賃をよく比較した上で支払い方法を選択されたほうがいいかと思います

 

例1:徳島→阿南乗継→宍喰

◎通し運賃適用の場合
JR 徳島→浅川 1660円+徳島バス 浅川→宍喰 500円

=2160円

◎個別支払いの場合

JR 徳島→阿南 560円+徳島バス 阿南→宍喰 1500円

2060円(通し運賃適用より100円安)

 

例2:南小松島→阿南乗継→甲浦

◎通し運賃適用の場合

JR 南小松島→浅川 1470円+徳島バス 浅川→甲浦 700円

=2170円

◎個別支払いの場合

JR 南小松島→阿南 260円+徳島バス 阿南→甲浦 1500円

1760円(通し運賃適用より410円安)

 

※2023年1月時点での運賃比較

※2023年5月20日にJRの運賃改定(値上げ)あり

特急列車を利用する場合は特急乗車区間に応じて特急料金加算

 

ただ、注意しなければならない重要事項として

バスの事前予約は不可

当日に空席がある場合のみに限られますので

必ず乗車出来る確証はないことを肝に銘じておく必要があります

あらかじめ発車オ~ライネット等の予約サイトで空席状況を確認してから

利用するかしないかの判断をするのがよさそうですね

 

徳島バス側としては自社高速バス路線の予約客を最優先とし

乗客閑散区間となる阿南駅以南においては

空席を埋めるための片手間に…といったスタンスなのでしょう

余談ですが

2022年11月16日から2023年2月15日までの期間限定

JR牟岐線内全駅と徳島バス阿南駅~甲浦停留所間等において

スマホ決済によるキャッシュレス乗車実証実験(いわゆるMaas)が実施されています
https://www.tokubus.co.jp/maas/

各駅改札口やバス乗降口付近に配備されている乗降用各タグに

おサイフケータイ対応のスマホ端末をタッチする方式です

アプリのインストールは不要で

あらかじめGoogleアカウントにサインインして

支払いクレジットカードの登録をしておけば利用可能です

先に述べたJR牟岐線徳島バスとの通し運賃制度にも対応しているとのことです

おサイフケータイ非対応端末でもQRコードの読み込みが可能ならば大丈夫です

※この実証実験は終了しています

ここ数年来、過疎化等での乗客減少による公共交通機関の経営悪化歯止めのための

徳島県など行政ぐるみのてこ入れ政策が積極的に行われる中

2021年12月25日には阿佐海岸鉄道DMV

線路と道路の両方走行できる乗り物・デュアル・モード・ビークル)が開業し

先日には開業一周年を迎えたばかりで

全国的にも注目されるようになった四国の右下エリアの公共交通事情は大きく変化しつつあります

阿波海南モードインターチェンジ
DMV阿波海南停留所
DMV開業からしばらくの間掲出された記念ヘッドマーク

一個人としてはとにかくこれらの施策にしっかりと乗っかって公共交通機関を利用し

四国右下エリアにお金を落としに行くことで応えたいものではあるのですが

如何せん来訪に際しての事前下調べのための

現地の新鮮な情報が十分とは言えない現状で

さらに変化に応じた情報の更新頻度が決して高くないエリアゆえ

ささやかながら補填する意味で

現時点での知る限りの公共交通事情をまとめてみました

(了)

 

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